ラ・ステラ (lyrics: うらら)
月明かりの砂浜
残る足跡はひとつ
くちずさむ歌
幼い日とおなじ
夜更かししてる
だれかに会いたくて
Ah 泣かないで
ラ・ステラ!
こんなにも星が
綺麗な夜に
「瞼を閉じても
夢のつづきには
いつだって
たどりつけないの」
朝日がのぼるまで
月とふたりきりワルツ
小さくなった靴は
みないふり
「微かな足跡
見えなくなるの」
Ah 踊ってごらん
ラ・ステラ!
あるがまま揺れる
波のように
夢見がちでいて
ラ・ステラ!
輝ける
ただひとりのきみ
Ah 目を開けてみて
ラ・ステラ!
星の海の果てを
いっしょに見に行こう
夢のおわりを
恐れないで
きみのために
ほら
夜が明ける
Neoteny (lyrics: Onda Hiromitsu)
オオバの若葉に開いた小さな穴から 覗いている臆病な緑色の顔
澄み切った水晶に移ろう丸い景色
樹洞に残されたメッセージ 川の妖精はどこかで待っている
眩しい日差しを浴びくねらせた身は 世界の距離を自由自在に操る目盛り
青竹の竿には五色の吹き流し
稜線の彼方には手招く7番目の鉄塔
そびえる雲の峰まで草笛は響く
錆色の気球を染め上げる祝祭の街のタブロー
乾いたばかりの羽を空にかざしても 緑の模様が残った胸は一人だけ?
鱗粉の養分で 夢見る永久機関
孤独と自由があるだけ 使命はいらない 己に迷い込め
繭の中で眠っていた昔がよみがえる 何者になろうとも純白は汚される?
海岸の崖にはブナがそよぐアートカフェ
窓際の青いグラスに引き寄せられた彼方の帆船
本来性の神話は砕けて水平線に散る
鈍色の街並みを流れる虹色の気球を追え
灰泥にまみれても緑色の輝きに曇りはない
白い小部屋と紫の林檎 (lyrics: Onda Hiromitsu)
白いモルタルの壁 イネリ=ゲナ氏は目を覚ます
小窓の外には黒橡の荒野
白いタイルの床 イネリ=ゲナ氏は目をこする
繰り返す戦火は4万キロの彼方
屋根に打ち付ける雨は 時に赤く青く 籠の中のカナリヤの声をかき消す
雨はろ過機を通り抜け 透明な水になり 台所の蛇口から注がれる
洗われたコップが問う 「誰が雨を降らせるの?」
スポンジの泡が答える 「雲でもない 空でもない」
無水鍋の野菜が問う 「どんなときに雨は降るの?」
コンロの弱火が答える 「偶然でもない 運命でもない」
白いテーブルセット ナゲリ=ネイ氏は目を覚ます
扉の隙間からは蜂蜜バターの香り
白い陶器の花瓶 ナゲリ=ネイ氏は目をこする
冷静な画面は20センチ程先
「私の肌はきれいな紫色をしているの」 右の枝から下がる赤い林檎が言う
「この世界は赤と青の2色刷りをされているの」 左の枝から下がる青い林檎が言う
鏡を覗いてごらん 本当の色は何?
あなたが育った土壌の色にどこか似ている
レンズを外してごらん 本当の色は何?
マーブル模様をしたケーキにどこか似ている
次の雨が来る前に2人は屋根に上った
こびりつく赤と青の油汚れで顔を洗う
朝食には2つのあの林檎を分け合った
胃液と混ざり合い紫に濁る
Impromedrophia (lyrics: Onda Hiromitsu)
西日を梳かす円柱のスリット
何も著わさずに消えた 古代の知者
五線譜の抱卵をたどる 名も無きロマン派の先駆
ツタの葉の連続文様が狂気を秘める
膜を張る インプロメドロフィア
不可逆の痛みを生む胎動
残照に溶ける陰影の摩天楼
「偉大さのパラドクス」綴る 平凡な物書き
大理石の空間をよぎる 2千人目のピアニスト
壁面のフラクタル模様が欲動を増す
闇を追う インプロメドロフィア
鮮やかな青い光を帯び
河を越す インプロメドロフィア
石英と金雲母の旋律
脈を打つ インプロメドロフィア
宿主を無数に乗り継いで
殻を割る インプロメドロフィア
一輪の花を伝う痕跡
夜半の森 (lyrics: Onda Hiromitsu)
せせらぎの音伝いに 木々の合間 一人歩く
水源の沼地では カエルたちが今宵産卵を迎えよう
岩陰のコケの淡い光にも 遥かな銀河は宿り続けている
川面に揺れる月の様な姿に心を惹かれて 遠く見つめていた
暗闇の温かさと不安を抱いて果実は熟れる
いちめんの微生物が歌う腐食の歌が愉しい
満ちた静けさに耐え切れない言葉は 死に絶えて歪な結晶に変わる
瞳の奥の限りない宇宙に心をゆだねて 微笑み寄り添った
一途な愛は幻の煌めき かけがえない星たちをずっと慈しもう
姿の見えない小鳥の寝息が 梢から夜空へそっと飛び立ってゆく
二日月 (lyrics: Onda Hiromitsu)
緋色の炎に染められて十二年の終わりを思う
作り出し愛しんだものを自らの手で奪う
夕闇が迫る頃 灯篭が仄かに灯る
山間の祭場に人影が黒く浮かぶ
篠笛と大太鼓 暮景を背にして歌い交わす
篝火は揺らめいて浄衣の肌を誘う
徳利が傾けられ 滑らかな白木を酔わせる
高ぶるアイゲンキョウ 櫓の胸に神輿を託す
鳳凰に身を捧げる金色の瓔珞も
クロワゼの飾り紐も 麗しき死化粧
櫓の周りを囲んだ七人の男たちが
燃え盛る松明で安息の火を放つ
焼け跡の灰の中では紅色の熱が絶えて
漆黒の夜空には二日目の月が刺さる
Let me Leap (lyrics: Onda Hiromitsu)
表層のスケーター 黒か白かの薄氷でダンス
人工の幽霊に都会で騙し討ち
泡沫の猶予をどこまで覚悟できるだろう
最上の自分の嘘に 醒めたまま踊れ
ガラス細工の端麗な鳥の像 透明なその羽に憧れて空を見やった
高速のスケーター 表裏一体の天井でターン
複製された太陽が幽霊をカムフラージュ
血を流していなくても 負い目と呼ぶほどじゃない
運命と呼ぶのなら 幕が下りた後
ガラス細工の端麗な鳥の像 透明なその羽に憧れて空を見やった
色付いた空は透明なその羽を見失わせて青く広がる
明滅のスケーター 氷は溶けても 地上のジャンプで天上の飛行を笑おう
いちごのオモチャ箱 (lyrics: Onda Hiromitsu)
はあと形のハート ひいろお気取りのヒーロー 私の中にかくまってあげるからね
路地裏から覗いているきらびやかなネオンサイン
三角帽のケーキとはぐれ バーのマスターに目配せ
次世代戦闘機 最新の防衛構想
着せ替え人形 リムジンのミニカー
透かし彫りの欄干照らす幽かな壁掛けランプ
いちごの影絵呼び戻したら カジノディーラーに会釈
受け売りイデオロギー アイコン化した悲劇
なりきりメイクセット 変形合体のロボット
はだ色の肌 ざくろ味のザクロ 私の中に摘み取りに行きたいね
夜風に吹かれ 通りを越えて 川のほとりに着けば
夜景の客船 にじんで見える あの灯りは誰だろう
ねこだましの猫 ちょう結びの蝶々 私の中で飼いならさないでね
はじめから全て言い古されている世界の中で 息継ぎしているだけなの
追憶の夜 (lyrics: Onda Hiromitsu)
誰を癒すともない真夜中の街の灯に
うかされて嬉しくて 彷徨よい歩き続ける
清らかな月明かりにいつでも見守られ
通り慣れたあの道はもう見つけようもない
何もわからないまま手を触れた泉の水は
そっと鼓動するように波紋を広げた
人という理念は 汚れと怖れの自覚
ガラスに吹き付けられた銀色の贖い
清らかな月明かりに影ごと付き添われ
通り慣れたあの道をもう一度帰りたい
愚かな無邪気さで手にした泉の水は
その冷たさを今も突きつけている
夜明けが来るまでここにただ居よう
潤いの無い朝は正しい
冷めた火に灯す水が唯一の温もりだろう
どこまでも帰り行くために 夢の外れを一人歩こう
Black Beautiful Day (lyrics: Onda Hiromitsu)
荷馬の足音 レンガ壁の倉庫 焚かれたばかりの竈
朝日が描き出すおどけた図形はまだ見ぬ世紀の印
港に今日もやって来るのは 移民たちが肩を寄せ合う蒸気船
常盤色のドアが閉まったアトリエ
横顔のラインだけが描かれたページ
ラウンジの空席 電光の案内 朝焼けに消えゆく航空灯
ショウケースに並んでいるのは 小分けにされた先住民の魂
真白な広場のコハクチョウ
抱かれた幼子の手が差し伸べられる
蕾は開くこともなく枯れ果てた
真紅の涙さえ染みになった
もう一つの世界で巡り会い
常盤色のドアの前にぼくらは立つ
水面に色付く小舟と街の倒影
さよならパレット (lyrics: Ichinose Saori)
りんごシャーベットのよな夜明けに おとずれる夏の夢たち
昨日読んだ青い麦の海の音が聞こえてくる
窓をひらいて 空をあおいで
雲だけ見てたら ここは他の国
ひまわり畑の黄色 貝殻の白
麦わら帽子の少女 青い瞳の少年
でも まだ 見たことはない
いちごジュースのよな夕焼け ビルを出たら消えている
スピードは速くなるだけ 何の痕も残さない
小さな部屋で 電話をかけて
これが毎日 帰るべき場所
ひまわり畑の黄色 貝殻の白
麦わら帽子の少女 青い瞳の少年
でも もう 消えていった
夢だけでもよかった 遠いあこがれ
もう見ることのできない 夏の幻だけど
きっと誰かが 夢に見てる
Daily Thanks (lyrics: Onda Hiromitsu)
コトホロン一匹 日ざかりを駆ける 気付かれぬよう後をつけよう
小さな虚栄が水たまりに落ち 遠くの山並みに滲んだ
モザイクのテッセラで道に迷って 風になりゆく廃墟で歌をつぶやく
月日の向こう 疑い得ないことをあなたに問い掛けたい